これだけ注目を集めたのはなぜだろうとか考えてみたのでいつものように羅列してみる。
まずは、視聴率の変遷
【第1話】19.4%
【第2話】21.8%
【第3話】22.9%
【第4話】27.6%
【第5話】29.0%
【第6話】29.0%
【第7話】30.0%
【第8話】32.9%
【第9話】35.9%
【第10話】42.8%
みごとな右肩上がり。これはストーリーが話題になっていることと、倍返しという流行語により当初は興味を持たなかった人を取り込むことができたのだろうと想像する。ドラマ自体が面白くなかったらここまで伸び続けなかっただろうから、話題性に見合った出来栄えだったのだろう。
さて、見所はどこにあったのだろうかと考える。
第一に、共感する人が多かったことだろうか。
バブル崩壊以降の負の遺産の処理を強いられている会社員が多い現実がある。バブル崩壊から20年経過しているが、自分も含めて入社当時から他人の尻拭いをしてきている。とてもじゃないが、経済成長期に働いていた人たちが感じていたようなヤリガイとかタッセイカンなんてものは味わえるはずがない。経済活動の最前線で働く20代から40代までのほとんどがそんな環境にある。
半沢が入行したのもバブル末期。そんな世代としては、上司からの責任のなすりつけられた半沢がそれを倍返しする姿に溜飲が下がるのは至極当然。清廉潔白ではなく清濁併せ持ち、どんな手段を使っても目的を達成しようとする姿に共感する人も少なくなかっただろう。
第二に、いわゆるゴリ押しアイドルの登用が少なく、ベテラン役者が揃っていたというのも大きい。顔芸と紙一重であったが、感情が言葉だけでなく表情と仕草とでもわかりやすく表現されており、感情移入しやすかった。
前半5話まではジャニタレとか壇蜜とかいたけど、うまい役者だけで構成された場面は、その空気がひしひしと伝わってきた。
考えてみると、家政婦のミタも同じように役者中心のドラマだった。
第三に、ストーリー構成だろうか。設定や背景を小説が書かれた当時から現在に近いものに変えたこと、描写をわかりやすくしたこと、それでいて大筋は変えていないこと。原作を変に省略することも無意味に引き伸ばしすることもなく、テンポのよい展開だった。
ゴリ押しタレントを採用すると、それを中心に見せるために間延びした場面があったりするが、それも前半の一部だけで済んだというのも大きいだろう。
当然だが原作も面白い。ドラマではその面白さを殺すことなく、脚本と役者の力で魅力が増していた。そんなドラマがこれから増えていくことを願う。