政府与党が海外からの移民受け入れを検討しているというニュースが流れ、それに対する感情的な否定論が席巻している。
個人的にはやむをえないだろうなぁとか思ったりするわけで、それについてちょこっと考えてみる。
日本が移民を大きく受け入れたのは3回あると認識している。1回目は明治から第一次世界大戦あたりまで、2回目は第二次世界大戦敗戦後から朝鮮戦争あたりまで。そして、3回目は1980年代後半からバブル崩壊まで。
1回目は積極的に受け入れるというよりも、移ってくる人を拒めなかったというのが本当のところかもしれないが、この時期には、大陸、半島、西洋からの移住者が少なくない。横浜の中華街の基礎ができたのもこのあたりだろうか。
2回目は、敗戦国のペナルティーとして、戦中に軍需工場で雇用した人をそのまま居住させることになってしまったこと。そして、朝鮮戦争での景気に対応する雇用拡大対応。このあたりに来た人のほとんどは帰国しているが。
3回目はバブル全盛期。景気に見合った労働力が不足し、3k職場が敬遠されたりということもあり、外国人労働者を積極的に受け入れていた。日系ブラジル人が大量に入ってきたのもこの頃だ。当時は労働力の確保が最大の課題であった。これはバブル崩壊したことで、いろいろなかったことになってしまったが、海外研修生の受け入れと、その後の継続した雇用をどうするかというテーマでの検討会はアチコチで行われていた。
バブル期は日本の若い労働力が一番多かった頃のことだ。3K(キツイ、キタナイ、キケン)なんて言葉やフリーターなんて言葉が生まれた時代であり、好んで定職に就かない若者も珍しくなかったので、現在と同じ条件にはならないが、バブル期の経済力を日本国内だけで生み出そうとしたならば、現在の人口では労働力が足りないと考えるのは妥当だろう。
バブル期は、日本は世界で一番物価の高い国であった。東京は世界一物価の高い都市であり、大阪が二番目であった。バブル崩壊による20年間のデフレと、他の国の経済成長によるインフレとの相対効果により、現在では然程物価の高いところではなくなっている。
このあたりは、戦後の急成長で発生した歪みが補正されたというところだろう。
映画「スワロウテイル」では、日本で金儲けをしようとした中国人移民が描かれている。ちょうどバブル期に外国人が不法労働をしていた時期の物語だが、労働力の確保のために行政のチェックが甘かったことも描かれている。
世界的に見ると、移民政策で失敗している国も少なくない。しかしながら経済発展には労働力が不足しているというのも歴史的には事実である。
行政がうまく運用してくれることを祈る。
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